真実は農業の現場にある
2011.9.16
9月14日の夜、茨城大学農学部の中島紀一先生が助手の飯塚さんと来訪。
福島県の二本松市、東和町へ向かう途中に2時間ほど立ち寄ってくださいました。
話題は必然的に放射能とどう向き合ってゆくのか、という点。
特に里山汚染に対してどう向き合うか?に集中しました。
近所の農家仲間6軒も集まって、短時間でしたが実りある情報交換になりました。
以下、かいつまんでご報告。
1・セシウムの土壌吸着の仕組み
①粘土・・・結晶の隙間に入り込んで結合。時間とともに結合が強まる。
②腐植・・・粘土ほど結合は強くないが、吸着する。
土づくりをしっかり行うことでセシウムの植物体への移行を減らすことは可能。
2・稲とセシウムの関係
土壌から白米への移行係数は0.0011である。
白米中のセシウムの存在割合は稲全体の10%。非可食部に9割が存在。
表層土壌からのセシウムの除去率は0.003パーセント。つまりほとんどゼロ。
3・作物による除染はほとんど効果なし
植物体のセシウム吸収はごく微量であり、除染効果はほとんど望めない。
4・落ち葉などの高線量に対する考え方。
土と落ち葉ではそもそも比重が全く異なる。
サンプリング方法も、土は0~10センチ、落ち葉は表層のみ。
キロ当たりのベクレルでなく、面積当たりで換算すれば畑も山林も同じではないか?
5・分析値の「検出限界」いわゆるNDについて
検出限界が高いからと言って機械の精度が悪いわけではない。
そもそも放射能測定は非常に難しく、1ベクレルなどの測定はほとんど無理。
したがって、放射能ゼロを望むのは無意味。
また、食品から検出されている放射線量は非常に微量濃度の範囲であり、
空間線量から推定することは不可能。
6・山とどう付き合ってゆくか
地表面の落ち葉を除去することは放射性物質を減らすのに有効。
国で処分方法が決まるまでは、仮置き場を作って積んでおき、体積を減らす。
放射能について、現場に生かせる科学はない。
農業の現場での取り組みが一番大事。科学はあとの話。
7・今後について
土壌は農家のものである。そこで生産するのは農家自身である。したがって、自分たちの生産資材は自分たちの責任で測定する覚悟が必要。
里美のような汚染レベルが低い地域は、除染というよりも積極的に作付することにより、汚染レベルを下げてゆくことが大事。ワラや堆肥はだめだといわれているが、化学肥料や農薬で作った野菜を食べるのか?作り続けながら実証してゆくことが大事。真実は農業の現場にある。
地域に住み続けながら、子供たちも安心して作物を食べてゆけるよう、情報を地域の中で共有してゆくことが大事である。じいちゃんばあちゃんが作った野菜を、胸を張って孫に食べさせられるような仕組みつくりが必要。
大中地区を流れる里川に差し込む夕日
福島県の二本松市、東和町へ向かう途中に2時間ほど立ち寄ってくださいました。
話題は必然的に放射能とどう向き合ってゆくのか、という点。
特に里山汚染に対してどう向き合うか?に集中しました。
近所の農家仲間6軒も集まって、短時間でしたが実りある情報交換になりました。
以下、かいつまんでご報告。
1・セシウムの土壌吸着の仕組み
①粘土・・・結晶の隙間に入り込んで結合。時間とともに結合が強まる。
②腐植・・・粘土ほど結合は強くないが、吸着する。
土づくりをしっかり行うことでセシウムの植物体への移行を減らすことは可能。
2・稲とセシウムの関係
土壌から白米への移行係数は0.0011である。
白米中のセシウムの存在割合は稲全体の10%。非可食部に9割が存在。
表層土壌からのセシウムの除去率は0.003パーセント。つまりほとんどゼロ。
3・作物による除染はほとんど効果なし
植物体のセシウム吸収はごく微量であり、除染効果はほとんど望めない。
4・落ち葉などの高線量に対する考え方。
土と落ち葉ではそもそも比重が全く異なる。
サンプリング方法も、土は0~10センチ、落ち葉は表層のみ。
キロ当たりのベクレルでなく、面積当たりで換算すれば畑も山林も同じではないか?
5・分析値の「検出限界」いわゆるNDについて
検出限界が高いからと言って機械の精度が悪いわけではない。
そもそも放射能測定は非常に難しく、1ベクレルなどの測定はほとんど無理。
したがって、放射能ゼロを望むのは無意味。
また、食品から検出されている放射線量は非常に微量濃度の範囲であり、
空間線量から推定することは不可能。
6・山とどう付き合ってゆくか
地表面の落ち葉を除去することは放射性物質を減らすのに有効。
国で処分方法が決まるまでは、仮置き場を作って積んでおき、体積を減らす。
放射能について、現場に生かせる科学はない。
農業の現場での取り組みが一番大事。科学はあとの話。
7・今後について
土壌は農家のものである。そこで生産するのは農家自身である。したがって、自分たちの生産資材は自分たちの責任で測定する覚悟が必要。
里美のような汚染レベルが低い地域は、除染というよりも積極的に作付することにより、汚染レベルを下げてゆくことが大事。ワラや堆肥はだめだといわれているが、化学肥料や農薬で作った野菜を食べるのか?作り続けながら実証してゆくことが大事。真実は農業の現場にある。
地域に住み続けながら、子供たちも安心して作物を食べてゆけるよう、情報を地域の中で共有してゆくことが大事である。じいちゃんばあちゃんが作った野菜を、胸を張って孫に食べさせられるような仕組みつくりが必要。
大中地区を流れる里川に差し込む夕日