命の源守る落ち葉さらい
2011.10.30
茨城新聞「茨城論壇」2011年10月29日掲載。
「命の源守る落ち葉さらい」
10月16日、私が代表を務める「落ち葉ネットワーク里美」の主催で「里山林クリーンアップ大作戦」を行いました。3・11の原発事故を受け、汚染されていない新たな落ち葉が落ちる前に、汚染された古い落ち葉を山からさらう取り組みです。直前の告知にもかかわらず、予想を上回る130人ものボランティアの皆さんが参加してくれ、里美地区で私たちが管理している3カ所の雑木林、約3㌶はきれいさっぱり大掃除できました。
落ち葉は有機農業にとって、苗を育てる床土や土作りのために作る堆肥の原料であり、太古の昔から使われてきた最高の有機資材、命の源です。
「大作戦」は、私たち里美地区の有機農家が、これからも地域の自然の恵みに感謝しながら営農を続け、命の源である里山を自分たちの手に取り戻し再生してゆくのだという「決意表明」でもありました。それがお世話になった方々や消費者の皆さん、さらには母なる自然への恩返しにつながると確信しています。その意味で、「除染」という言葉では表しきれない、とてもポジティブな取り組みです。ボランティアの皆さんはこのような僕たちの姿勢に共感してくれたのだと思います。
3・11以降、風評被害や放射能汚染と闘う中で、時にはこの地で有機農業を続けることに自信を失いかけました。それでも、推測でなく事実の把握に努めながら、将来のために今できることを模索した結果が今回の活動です。そしてこれを一つの区切りに、そろそろ次のステップに踏み出そうとも考えています。
当然、放射能との付き合いはまだまだ続きますし、有機農業の「核心」を脅かされた怒りが消えることはありません。でも放射能にしっかり対応しつつ、有機農家本来のより高品質でおいしい作物作りにもっと精を出したいのです。食べてくれる皆さんに幸せを届けられるような作物を作りたい。風評被害なんかにひるんでいては、良い仕事はできません。
本県は十分に営農できる汚染レベルです。農家の皆さんはこの事実にもっと胸を張って良い。でないと、より汚染レベルが高い地域で奮闘している農家の皆さんに、合わせる顔がありません。有機農家にとっては厳しい状況が続きますが、地道に進んでゆくしかありません。
今回の活動を通して、前向きに努力する農家の気持ちは必ず消費者に伝わる、と確信を得ることができました。それは、議論が再燃しつつあるTPPへの参加問題についても同じことが言えると思います。作目によって立場が違うでしょうが、いかにして消費者にアピールできるか、がカギになると思います。政府は規模拡大をお題目のように唱えますが、それでうまくいくなら日本の農業はとっくに再生しています。農業の現場はもっと複雑だし、国土の67%が山林の日本では小規模でも成り立つ農業経営のモデルも必要でしょう。
そもそも農や食の問題は農家だけのものではなく、消費者も含めた日本国民全体の問題です。農家や農業団体がいたずらに反対を唱えるだけでは、消費者の支持は得られないでしょう。これを好機に生産者、消費者の垣根を取り払い、日本の農業や食べ物をどうしてゆくのか、国民が共有できるビジョンを模索してゆきたいものです。
「命の源守る落ち葉さらい」
落ち葉は有機農業にとって、苗を育てる床土や土作りのために作る堆肥の原料であり、太古の昔から使われてきた最高の有機資材、命の源です。
「大作戦」は、私たち里美地区の有機農家が、これからも地域の自然の恵みに感謝しながら営農を続け、命の源である里山を自分たちの手に取り戻し再生してゆくのだという「決意表明」でもありました。それがお世話になった方々や消費者の皆さん、さらには母なる自然への恩返しにつながると確信しています。その意味で、「除染」という言葉では表しきれない、とてもポジティブな取り組みです。ボランティアの皆さんはこのような僕たちの姿勢に共感してくれたのだと思います。
3・11以降、風評被害や放射能汚染と闘う中で、時にはこの地で有機農業を続けることに自信を失いかけました。それでも、推測でなく事実の把握に努めながら、将来のために今できることを模索した結果が今回の活動です。そしてこれを一つの区切りに、そろそろ次のステップに踏み出そうとも考えています。
当然、放射能との付き合いはまだまだ続きますし、有機農業の「核心」を脅かされた怒りが消えることはありません。でも放射能にしっかり対応しつつ、有機農家本来のより高品質でおいしい作物作りにもっと精を出したいのです。食べてくれる皆さんに幸せを届けられるような作物を作りたい。風評被害なんかにひるんでいては、良い仕事はできません。
本県は十分に営農できる汚染レベルです。農家の皆さんはこの事実にもっと胸を張って良い。でないと、より汚染レベルが高い地域で奮闘している農家の皆さんに、合わせる顔がありません。有機農家にとっては厳しい状況が続きますが、地道に進んでゆくしかありません。
今回の活動を通して、前向きに努力する農家の気持ちは必ず消費者に伝わる、と確信を得ることができました。それは、議論が再燃しつつあるTPPへの参加問題についても同じことが言えると思います。作目によって立場が違うでしょうが、いかにして消費者にアピールできるか、がカギになると思います。政府は規模拡大をお題目のように唱えますが、それでうまくいくなら日本の農業はとっくに再生しています。農業の現場はもっと複雑だし、国土の67%が山林の日本では小規模でも成り立つ農業経営のモデルも必要でしょう。
そもそも農や食の問題は農家だけのものではなく、消費者も含めた日本国民全体の問題です。農家や農業団体がいたずらに反対を唱えるだけでは、消費者の支持は得られないでしょう。これを好機に生産者、消費者の垣根を取り払い、日本の農業や食べ物をどうしてゆくのか、国民が共有できるビジョンを模索してゆきたいものです。