農の土台づくりへ精進
2012.1.22
茨城新聞2012年1月21日掲載
毎回なかなかの苦行です。あと1回で終わり。
今年は辰年です。辰の字の由来は「振」で、「草木の形がととのった状態」を表すそうです。今年は天候に恵まれて豊作の年になってくれることを願っています。
私の農園は2haほどの農地で季節の野菜類や米麦大豆など、様々な作物を有機栽培しています。育てた作物は、個人の家庭用野菜ボックスや飲食店・地元学校給食の食材として100%直売しています。有機農業の世界ではこれを産消提携と言います。提携とは「助け合うこと、協力し合って物事に取り組むこと、タイアップ」という意味です。いまや町のスーパーでも有機野菜は手に入るようになりました。様々な流通と販路が出来たのは、それだけ有機農業が市民権を得てきた証拠だと思います。しかし私は「提携」が好きで、これからもこのスタイルで行こうと考えています。直接消費者の皆さんとお付き合いができるのは楽しいし、農家として最高の贅沢だし、何より鍛えられます。
また、作物を育てるにあたっては、作物自身の生命力を引き出すこと、そのためにまずは土をしっかりと育てることを特に意識して取り組んでいます。こちらは土の微生物との共同作業です。元気な土で率直に育った野菜は健康で、健康な野菜はおいしいです。おいしい野菜は人を笑顔にする力を持っています。笑顔で食べる食事はますますおいしく、家族の健康と幸福の手助けとなります。そんな野菜を育て食卓に届けることで、社会に貢献してゆくのが私たちの農園の使命です。
耕しながら自然を育ててゆけるのも有機農業の魅力です。草刈りをして管理されている田んぼの土手や、手入れされている里山の雑木林には今でもひっそりと氷河時代の生き残り植物が生活しています。代表的なものがカタクリです。また、水を張って田植えをした水田では、毎年10アール当たり1000匹以上のトンボがふ化します。私が管理している水田には、今でもドジョウやメダカ、サワガニ、イモリなどが、呼んでもいないのにそれぞれ勝手に生活しています。彼らは私たちの有機農業と「提携」して暮らしているのかもしれません。
また、有機農業に限らず農業は風景が作れる仕事です。ドライブで眺める一面の稲穂の波、新緑の山間に広がる水をたたえた棚田、たわわに実ったみかん山、せせらぎのわさび田、大地に広がるキャベツ畑、すべて日本の農業が作り出した風景です。たまに県外に出かけることがありますが、茨城県に帰ってくると、途端に美しい田園風景が広がってホッとするのは私だけでしょうか?それだけ茨城の農業が頑張っている証拠が「風景」だと思います。
作物以外にも様々なものと命を育む有機農業は、とても奥が深くてやりがいのある仕事です。有機に限らず農業とは一般的にこのような性格のものです。私はこんなにも素晴らしい仕事が衰退している現状が残念でなりません。しかし、このような時代にあっても、つながりを大切に、茨城の豊かな大地に根差した命ある食べ物を作り続けてゆけば、農の土台は揺るがないと信じて、今年も精進してまいります。
毎回なかなかの苦行です。あと1回で終わり。
今年は辰年です。辰の字の由来は「振」で、「草木の形がととのった状態」を表すそうです。今年は天候に恵まれて豊作の年になってくれることを願っています。
私の農園は2haほどの農地で季節の野菜類や米麦大豆など、様々な作物を有機栽培しています。育てた作物は、個人の家庭用野菜ボックスや飲食店・地元学校給食の食材として100%直売しています。有機農業の世界ではこれを産消提携と言います。提携とは「助け合うこと、協力し合って物事に取り組むこと、タイアップ」という意味です。いまや町のスーパーでも有機野菜は手に入るようになりました。様々な流通と販路が出来たのは、それだけ有機農業が市民権を得てきた証拠だと思います。しかし私は「提携」が好きで、これからもこのスタイルで行こうと考えています。直接消費者の皆さんとお付き合いができるのは楽しいし、農家として最高の贅沢だし、何より鍛えられます。
また、作物を育てるにあたっては、作物自身の生命力を引き出すこと、そのためにまずは土をしっかりと育てることを特に意識して取り組んでいます。こちらは土の微生物との共同作業です。元気な土で率直に育った野菜は健康で、健康な野菜はおいしいです。おいしい野菜は人を笑顔にする力を持っています。笑顔で食べる食事はますますおいしく、家族の健康と幸福の手助けとなります。そんな野菜を育て食卓に届けることで、社会に貢献してゆくのが私たちの農園の使命です。
耕しながら自然を育ててゆけるのも有機農業の魅力です。草刈りをして管理されている田んぼの土手や、手入れされている里山の雑木林には今でもひっそりと氷河時代の生き残り植物が生活しています。代表的なものがカタクリです。また、水を張って田植えをした水田では、毎年10アール当たり1000匹以上のトンボがふ化します。私が管理している水田には、今でもドジョウやメダカ、サワガニ、イモリなどが、呼んでもいないのにそれぞれ勝手に生活しています。彼らは私たちの有機農業と「提携」して暮らしているのかもしれません。
また、有機農業に限らず農業は風景が作れる仕事です。ドライブで眺める一面の稲穂の波、新緑の山間に広がる水をたたえた棚田、たわわに実ったみかん山、せせらぎのわさび田、大地に広がるキャベツ畑、すべて日本の農業が作り出した風景です。たまに県外に出かけることがありますが、茨城県に帰ってくると、途端に美しい田園風景が広がってホッとするのは私だけでしょうか?それだけ茨城の農業が頑張っている証拠が「風景」だと思います。
作物以外にも様々なものと命を育む有機農業は、とても奥が深くてやりがいのある仕事です。有機に限らず農業とは一般的にこのような性格のものです。私はこんなにも素晴らしい仕事が衰退している現状が残念でなりません。しかし、このような時代にあっても、つながりを大切に、茨城の豊かな大地に根差した命ある食べ物を作り続けてゆけば、農の土台は揺るがないと信じて、今年も精進してまいります。