放射能のことを忘れているわけではない。

このところ、放射能についてめっきり書かなくなってしまった。もう布施は放射能を忘れてしまったのか？または区切りをつけたのか？などと、いろいろ詮索する向きもあろう。でも忘れているわけではない。むしろ毎日、頭のどこかで絶えず放射能のことを考えている。いや正確には考えさせられている。前に進もうとする意識に立ちはだかるように放射能の壁がある。

でも思うのだ。危険を避けていたら汚染を減らすことはできない。大地を耕す百姓が土や自然と関わることで初めて汚染を減らしてゆくことができる。人間がそこで生きてゆくことで初めて、浄化への一歩を踏み出すことができる。海だって漁師が漁に出ることで、再生へ向けての歩みが始まるのだ。これは単なる希望ではない。事実だと思う。

耕し続けること。それは自然と人間との関わりのバランスをとることだ。自然を壊したら人間は生きてゆけない。だから僕たちは自然を育てながらそのおすそ分けを頂いて、逆に生かされている。木・水・お米・お肉・お魚・果物・・・・・すべて自然からの頂き物だということ。放射能だって、自然は長い時間をかけながら浄化してしまうだろう。でも人間が関わることで、その途方もない時間を半分、いや10分の1に縮めることができるかもしれない。そしてそれができるのは、自衛隊でも、大学の先生でもない。そこに住んでいる私達。とりわけ自然と関わるすべを知っている第1次産業従事者だと思う。

それと除染について。結局除染作業で出る膨大な残渣はどこへ行くのか？？噂では警戒区域内の国有林が有力な候補だとか。それでいいの？私は今後一切の除染作業は行いません。水に流せば海に行ってしまう。大切に育ててきた土だって、除染と称してはぎ取った瞬間に、核のゴミになってしまう。ごみの押し付け合いほど醜いものはない。そしてどれだけ完璧に封じ込めたとしても、諸行無常、最後は海へ流れ出るんですよ。

これは予測ではなくて真実である。それならば、僕は放射能を自分の田畑や山で受け止めたい。受け止めながら土を肥やし、育てて、放射性物質を100年でも200年でも土に抱え込ませて、作物にも吸わせずに、最後はこの土地で消滅させてやる。本物の土にはその力があると信じている。それが自然への礼節であり、放射能を生み出し、その恩恵を受けてきた我々がとるべき責任だと思うのだ。

最後に、このところブログで報告していなかった放射能の測定結果を。

10月・11月に計20点の秋冬野菜を検査。18点は不検出。2点のサンプルからセシウム検出。2点はいずれも大根の葉。5月から検査してきて野菜では初の検出です。ちなみに大根の葉は5点調べて3点は不検出（市の検査　20ｂｑ限界）。どうやら大根の葉は出やすいようです。ほかの産地、生産者の皆さんでこのような傾向はないのでしょうか？？最近は大根の葉は切って出荷している木の里農園です。