TPPに賛成?反対?秘密?

先日畑で必死に里芋を掘っていたら、村の友人が東京の学生さん達十数人を引き連れてやってきました。

その中に混ざっていた社会人の方から、「TPPについてどう思われますか?」という質問を受けました。

その時にはこんな風にお答えしました。

「多くの分野について影響があると思うが、農業についていえば反対ではない。自分だって足を引っ張られることになるだろうが、長い目で見れば、自由競争が進むことで日本の農業が変わってゆくための契機になると思う。農業は必要以上に守られてきた。限られた税金の使い道が既存の農業の保護のために使われることが将来のために有効とは思えない。この村だって「農家」がほとんどだが、実際に農業だけで生活している「専業農家」はごく一握りだ。多くは「第2種兼業農家」と言って勤めの収入のほうが多いか、「自給的農家」と言って農産物を販売すらしていない農家がほとんどだ。彼らまでを守る必要はない。私も小規模の農家なので、専業ではあるが同じく守ってもらわなくて良い。自給とは好きでやっていることなはずだ。税金が投入される必要はない。もちろん、農業には経済性だけでは測れない外部経済性がある。しかしそれは農家がもっと自覚的に販売価格に上乗せする努力をするべき。税金の投入を望むよりも消費者の理解を得る努力を農家自身が行うべき時に来ている。」

こんなこと話しました。

ほんの15分くらいだったので、言葉も足らず、学生さんには分かりずらかったかなーと、あの後も仕事しながらつらつらと思いを巡らせていました。せっかくの機会なので、ブログに僕の考えを記しておこうと思います。

 

まず第一に、農産物の価格が低下して一番打撃を受けるのは専業農家です。打撃の強さは他分野の収入が多くなるほど低下してゆきます。一番影響を受けないのは自給的農家。彼らは強いです。喰うためだけに作っているわけですから価格なんて鼻から関係ありません。元々採算度外視です。生きがいでやっているのですから、行政が「保護」するべきものではないです。一方で、生活がかかっている専業農家は為替相場の変動にも神経をとがらす経営をしている畜産農家もいます。TPPが発効しなくても年々下がる米相場でも採算が合うように経営を研ぎ澄ましている米農家もいます。TPPが直撃するのは彼らであることを消費者の皆さんに自覚してもらいたいですね。でも今の専業農家さんは僕達みたいな新規就農組と違って優秀な農家が生き残っているので、TPP時代を見越して準備を進めている方も多いです。

 

だからといって僕はグローバル化推進論者かと言えば、そうではありません。そもそも食料をはるか海外と取引する必要はないと思っています。でもグローバル化の流れは今後も止められないでしょう。日本からも海外に打って出る農家が増える一方で食料の海外依存、情報の均一化、グローバル企業の世界進出は進むでしょう。だからこそこれからは「ローカルなものの価値」が試される時代になると思います。小さな農業経営、地域の伝統産業、商店街、山村漁村、グローバル化の中でも、本当に価値のあるものは生き残るでしょう。では「価値のあるもの」はどんな時代でも変わらないものなのか、時代とともに変わってゆくものなのか、、、僕は多分後者かなと思っています。

仕事とは「自分自身が変わってゆくこと」だそうです。でもそのためには自分が今やっていることを俯瞰的に見る視点が必要です。グローバルな視点、科学的な視点は欠かすことができないと思います。僕自身への戒めの意味を込めて記しておきます。

でも、ナウシカじゃないけど「人間は土から離れて生きられない」というのは変わらない真理です。これは、農林水産省やJAさんじゃなくて(でもいいけど)農家自身がもっと「営業」するべきことです。時代に合うかたちで。

 

最後にもう一つ。僕達も含めて「選ぶ眼」が試される時代になるでしょうね。情報は一昔前よりもはるかに得やすい時代になりました。それでも世の中が良い方向に進んでいる実感はありません。秘密が増えることも時代と逆行しています。僕達は皆が百年後を見てどんな時代を作ってゆきたいのか、真剣に考えて選択する眼を持たなきゃなりませんよ。今日の混乱だって僕たちの選択の結果なんだから。

 

 

 

 

この投稿へのコメント

コメントはありません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

*