強がる農業 2018年11月4日 by 木の里農園 気が付けば11月です。この季節になると、1年間にわたり励んできた野良仕事の結果もあらかた見えてきて、実りゆく作物を眺めながら一喜一憂の今日この頃です。一方で、来年に向けての種まきや植え付けなど、冬が来る前にやること満載のひと月が始まりました。 今年もまあしかし極端なお天気でしたね。猛暑、長雨、台風、色々ありました。色々振り回されました。人に会うたびに、「今年は野菜大丈夫なの~?お天気もひどいし大変だよね⁈」って聞かれました。そのたびに「振り回されながらもしっかり対応するのが、農業のだいご味っす~!」と強がりつつ乗り越えてきました。まあ実際には全然対応しきれないのですがね。自然の力は偉大ですよ。 でも、秋の野菜は豊作です。人も野菜もよく頑張ってくれました。 畑ではさつまいも掘りが終わり、里芋掘りに取り掛かっています。そろそろ大豆の収穫も始まります。ちょっと変わったものとして、今年初めて「えごま」を育ててみました。村の先輩から苗を頂いたので、猛暑で干からびた畑の隅っこにダメもとで植えておいたんですね。しかし驚異の生命力でしっかり根付いて見事に実ってくれました。在来作物の生命力を痛感した次第。これから水洗いしてごみと選別して。。。色々手間がかかりますが、自家用の息抜きでのんびりやってみます。 そんなこんなで、収穫の秋は色々と作物の残渣が出ます。稲刈りをすれば稲わらやもみ殻、そばを刈ればそば殻や葉や茎の残渣(下の画像)などなど。それらを仕事の合間にせっせと集めて運んで堆肥場に集積しています。今年は農園史上最大級の山ができつつあります。これから冬になれば山に入って雑木林の落ち葉をさらって、出荷で出る野菜残渣もなんでも混ぜて発酵させて堆肥を作ってゆきます。この堆肥が土作りのベースになります。露地栽培の場合はしっかりした土を作ることが、近年の異常気象への最大の対抗手段になるのです。 というわけで、昨年は寒い秋で苦労しましたが、今年はリベンジできたかなと思います。しかし問題が。。。10月からずっと暖かすぎ!霜は降りましたが、今度は野菜の成長が進みすぎる心配に気をもみ始めた今日この頃。やはりお天気に振り回されるのは農業の宿命ですな。 それでも最後にもう一回、強がらせて下さい。その宿命と謙虚に向き合えるのが一次産業の幸福なのだと。
夏野菜予告編 2018年7月1日 by 木の里農園 7月になりました。夏です。暑いです!梅雨明けですっ‼ もう少し梅雨でいてくれないと困ること満載の木の里農園ではありますが、お天気とは気まぐれなものと肝に銘じて、ぶれずに、くじけずに、粛々と畑の管理を進めてゆきたいところです。 さて、育苗ハウスではすでに秋野菜の種まきがどんどん始まっています。今週からはじゃがいも掘りも開始。掘ったらすぐに耕して、秋冬の作付け準備を進めてゆきます。 一方で、まだ霜が降る3月から種まきして育ててきた夏野菜がいよいよ収穫の時を迎えました。今週から少しずつ野菜ボックス「里山やさい便」にてお届けしますね。ということで、今回は夏野菜のご紹介です。 ズッキーニとサヤインゲン。 ズッキーニは2番手、サヤインゲンは今週からたっぷりお届けします!丸さや種もあります。少しのごま油と生姜醤油で和えて冷やした一皿は最高ですね。 ハウスのミニトマトも色づき始まりました。毎日せっせと潅水しています。また、今年から新たに雨よけハウスを2棟建設して、1棟でパプリカ、もう1棟でイタリアントマトを作付けしています。ミニトマトは来週あたりから。イタリアントマトは8月からお届け予定です。 バジルも色々ありますので、ほしい方はご連絡くださいね。 イタリアンクラシコ・バジリコナーノ・ホーリーバジル・紫バジルなどなど。 こちらは露地で育てているピーマン類。 左はイタリアのスイートカイエンペッパー。完熟させてお届けします。右はこどもピーマン「ピー太郎」香りがよく、肉厚があっておいしいピーマンです。他に万願寺唐辛子も、COMMING SOON であります。 そして、みなさまお待たせしました!夏の役者、枝豆の「湯上り娘」今週からお届けです。ズッキーニが夏バテした後に控えるコリンキーも、少しずつ膨らんでおります。 今年初めて作った「食べきりバターナッツ」。やたらと成っています。若採りしてズッキーニのようにも食べられるとか。楽しみです。右は今が盛りのキュウリの花です。今年はミツバチがすごく少ないのですが、早くも出荷しきれないくらいの収穫に追われています。 バジルと青シソ。 ツルムラサキ(手前)と空心菜2番手(奥)。 ニンゲンはバテ気味ですが、熱帯系の野菜はここぞとばかりにぐいぐい育ちます。 野菜を育てる土に無理をかけないように、毎年30アールほどでホウキモロコシを育てて、1年間完全に畑を休ませています。育てた草は、東京の箒職人さんが刈り取って、手作り箒に生まれ変わります。私も少しは作ります。。。木の里農園の農業を通じて、日本の伝統的な手仕事のお手伝いができるのは、大きな喜びでもあります。 そしていよいよじゃがいも掘り始まります。左上から時計回りにチェルシー・サッシー・ノーザンルビー・キタアカリ・シャドークイン・アローワ・グランドペチカ。今年はこのラインナップでお届けします。 先日の満月の夕暮れ。日中汗にまみれて働いて、陽が落ちてから飲むビールは最高であります(笑)
最近の状況 2016年10月18日 by 木の里農園 ご無沙汰です。 夏を比較的順調に乗り切り、自分としても農家として一皮むけたかなと実感できる充実した仕事をしてきたにも拘らず、厳しい秋を過ごしております(苦笑) ひとえに9月の極度の日照不足による作物の不調が原因なわけですが、だからと言って自分に責任がないかといえば、そんなこともない。技術的に足りなかった部分が見えてきます。いやまだ解決策が見つかっているわけでもなく、かといって天気に左右される農業という宿命を完全に受け入れたわけでもない。。。日々、明日の出荷物を過不足なくそろえることに、妻と二人で右往左往しながら、自分たちのどこが足りなかったのか、作物や土を見ながら、考えを深めているところです。 とはいえ、こんな年でも10種類前後の野菜類を切らさずに皆様の食卓にお届けできているのは、この夏から秋に充実した仕事ができたからであり、天気に足を引っ張られながらも、やはり努力や作物は裏切らないのだと、ひそかに自分を励ましたりしています。 8/29台風襲来前日の虹。 そもそも有機農法というものは、土作りや自然のシステムを生かす方法であり、本来気候変動や異常気象には強いと言われています。しかし、どんなに優れた技術や土壌があったとしても、その土台には太陽からの日照がある。そこは痛感しました。じゃあ今のうちの野菜供給を支えているものは何か?それはとにかく毎日やみくもに様々な作物の種を播き、植え付けてきたこと。。。。。つまり多品目栽培にあると言えます。リスク分散ですね。 生産効率を無視したこの手法こそが皆さんの日々の食卓を支えているのです(笑)その根底を突き詰めてゆくと、それは「売るために作る」のではなくて、「食べるために作る」という、私たちの永遠のアマチュアリズムがあるのかも知れません。 でも本当はやはりこういう安易な結論じゃなくて、気候変動にも揺るがない、しっかりと作物の成長を支え続けられる農業者でありたいものです。決して偉そうに言える話でもないので、今日はこの辺で。今は冬から春に向けての畑の準備と種まきに追われています。 半年後を見越した作付と(半年後に後悔しない!)、もっと大きな流れの中での土を見つめること。 まだまだ勉強してゆきたいです。